2009年07月31日

梵鐘奇遇 完成

まったく

途中経過はどうしたんだっつー感じで完成してしまい
さらに調子くれて予約なんか取っちゃっておりますが、
ここでの投げっぱなしぶり、面目次第もございません。
写真も相当ダブりますが、許してスカルピー。


えー、パーツはこういう風に揃いまして。

bon28.JPG

異素材はというと、主に強度が必要な「鼻緒」「ふんどし」がマジスカ。
提げ物の「キセル入れ」がスカで、ディティールが光硬化パテ。
「根付」がマジスカ。紐はアリモノに瞬着を染み込ませてあります。

bon29.JPG

鐘の作り方は以前に詳細に書いたので、あとはスカばっかしです。

で、これくらい大きい塊になると、ヒビ入らないようにどう焼くのって
ことになると思いますが、低温です。100度で長く焼く。
それも直接熱源が当たらないよう、場合によってはアルミホイルでカバーして
100度で安定するまで30分以上温めてから、ホイルをどかして焼き
長くて60分。強度が欲しい場合、最後の方には温度を上げます20℃くらい。10分ほど。
そんでポイントですが、急冷しない。ヒビの原因は膨張差です。
焼いたらオーブン庫内に放置したままゆっくり自然に放熱させる。
この気遣いだけで、ヒビとはだいぶ出会わずに済みます。

とにかくヒビはクソ面倒くさいですから、多少焼くのに手間がかかっても
出来ないに越したことはないです。
後から部分部分で追い焼きする場合も、焼きたくないところはホイルで
カバーし、自重でゆがまないよう、必ず「治具」を入れて焼きます。

●ジグ。チグとも読みますがそれは間違い読みで実は英語の当て漢字、ジグ。
自分の場合はシリコンの余りを、万年皿に入れて固めておいて
各種厚さ作ってあり、それをいくつもかませて調整します。
薄くて広いシリコンのシートみたいなのもつくっておくと結構重宝



で、ガッチリ強度が出たところで、表面処理。
布ヤスリ&スポンジヤスリ&アセトンで。


さて、いよいよ全部が出来たら色を塗ろうっつー話ですが
俺は色に関してはカラッキシでして、何をやったらいいか全然わかんない。
けど、順番にやろう、手順を写真で残そうと思って1枚撮った後

bon30.JPG

その後、パニックでもう余裕なし。
なんで全部がオレンジ色になるんだ、とか大騒ぎでした。
結果、基本、エナメルペチャ男です。すいません。

とにかく手順がわかんない時は、もう見た目で判断するしかなく
肌の透明感とかそういうご大層なことを考えるよりも「成立させる」ので
精一杯。彫り物は夢のまた夢でした。

でもまあとにかく完成。

ヨイショ!

bon31.JPG

ヨイショ!

bon32.JPG

ヨイショ!

bon33.JPG

ヨイショ!

bon34.JPG

プリッ!

bon35.JPG

ノシッ!

bon36.JPG

ヨイショ!

bon37.JPG

で完成です。

少し前のから見比べると微妙にそこらじゅういじってます。
腰のヒネりや尻の位置とか。

今回は「日本のファンタジー」であるべく、なるべくリアルな表現は
避けました。つまり細かいシワやテクスチャー表現みたいなの。
そういうアプローチはワックスには勝てない。
じゃあスカルピーで何が一番効果的なのか?と考えるに、
やっぱし粘土の勢いだと思います。ぐいぐいやる。これっかないす。
繊細さよりも、手から伝わるパワーを出す。
そういう意味でも、仏像のようにしたかったです。若干のディフォルメあり。

運慶快慶の作品は作業中何度も見ました。
これだって受注仕事なんだから、同じ人間として対抗できないはずは
なかろう。とは言うものの、テメー運慶すげーなコノヤロウです。

問題はお客に何を感じさせたいか。
救いを求める衆生にビジュアルインパクトで信仰心を促すという
極めて娯楽性に富んだアプローチに対抗するには、どうする?とだいぶ考えました。
数百年前の人間よか知恵を絞れなきゃと退化だぜと、すっかり敵はWFになく時間の向こう。

結果、自分の彫刻としては一番気合が入ったとは思ってます。
それなりに彫刻に思いが出ているとも。
もっとここを、という部分も当然あり、悔しさと歯がゆさも
ガッチリありますが、10年経ってこの彫刻を見た俺が
なかなか頑張ってたじゃんか、というくらいまでは出来たと思います。


具体的に一番迷ったのは右肩の重心位置。
鐘を担いだ場合、やっぱ龍頭の方が重い。左手は添えるようなもんで
右肩に乗せたものを、左手で方向を微調整しながら伏せる!という
感じにしたかったんで、ここは最初のイメージとどんどん変わりました。
肩の骨で支える感じですかね。

あとは胴長短足の為、微妙にバランスがカッコいい方に逃げやすかったんで
それを逃げないようにするのに気を遣いましたかね。
アンバランスの維持は意外に難しいす。ちょっと気を抜くと今度は
ただの間違いにしか見えなくなっちゃうんで。

カッコいいバランスというのは簡単す。逆三角形で足が長く、腕は要所要所で
メリハリついて、マンガでよく見る部分を強調すればすぐ成立する。
でもそれだとホント面白みがない。記号論でしかなく悪く言えばバカ造形と
思います。有名な原型師でもそういう記号に頼ってる人多いす。実に多い。
俺はそういうの見ると、キレイでも全然彫刻的にはダメだな、と思いますが
アマチュアでも独自のアプローチしているなあ、と勉強になる人もいます。
どっちにしても記号論っつーのは、恥ずかしい。サボリが丸見えですからね。退屈。
考えれば考えるほど、カッコいいってのは外面によくある記号、トゲとか
シャープなラインじゃあないと思うんすよね。
内面から出るものがキーだと思います。さて、いかがでしょうか。

つーわけで、毎度能書きの果てに梵鐘奇遇完成。
posted by ブリスターパックファッカーズ at 17:27| 梵鐘奇遇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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